深刻になっている一人暮らしの認知症

病識が持てないことや、記憶障害といった危険

近年、深刻になっているのが、一人暮らしで認知症になった場合です。子供が独立し配偶者に先立たれたり、独身で家族がいないといった高齢者が認知症となった場合、どのような危険があるでしょう。

最も大きな問題点は、「病識が持てないこと」です。自分が認知症であることを自覚するのが難しい点が、一人暮らしの認知症の問題を深刻化していると言えるでしょう。

同居している家族がいれば、行動を客観的に見て「様子がおかしい」と判断できます。また、家族に指摘されれば、自分自身でも「そうかな」と受け入れられることもあるでしょう。

しかし、一人暮らしをしている場合は、たまに訪ねてくる身内に「おかしいよ、病院へ行こう」と言われても、自分で生活をしているという自負があるため、素直に自分を疑うことが難しくなってしまいます。

もう1つは記憶障害です。記憶障害は、認知症の代表的な症状です。初期においてはお財布の置き場所を忘れて探し続けてしまう、調理中であることを忘れて火を点けっぱなしにしてしまう、蛇口から水が出ているのを忘れてしまうなど、生活のこまかな面で不便が生じます。さらに認知症が進行すると、電話がかけられない、家族を忘れる、自分が誰なのか分からないなどの症状も出てきます。

徘徊や認知症ドライバーといった問題も

自覚がないまま認知症が進むと、さらに深刻な問題がいくつも発生します。

代表的なものが「徘徊」です。自分の家を探す、あるいは何かを探しに、時間を問わず外に出てしまいます。そのまま自宅へ戻る道を忘れて迷子になる、危険な場所に立ち入って事故に遭うなどのトラブルが起きやすくなります。

「認知症ドライバー」の問題もあります。この問題は、主に地方において深刻化しつつあります。自動車がないと買い物に不便をきたすような地域の場合、判断能力や記憶力が不十分な状態で車を運転することによって、事故などが起きやすくなります。

さらに、対人関係や金銭面でのトラブルも起きやすくなってしまいます。記憶障害から相手のことを忘れてしまい、相手との会話を覚えられない場合もあります。疑心暗鬼から暴力や暴言をふるうこともあり、人間関係に問題が生じやすくなります。

また、悪質な訪問販売の被害に遭う、身近な人に「金銭を盗まれた」という被害妄想を持つなどの金銭的なトラブルも起きやすくなります。

このような問題を未然に防ぐために、今からできる備えをしておくことが大切です。歳をとっても一人暮らしを続けたい場合は、「自分が認知症になる可能性」をいつでも意識しましょう。定期的な検査や暮らしやすい環境の整備、運転免許の返納、後見人制度の活用など、健康なうちにできる備えを検討しておくことが大切です。

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